FPM VERSUS 大木伸夫(ACIDMAN) スペシャル対談

FPMがあらゆるタイプの音楽と真っ向からぶつかり合う新DJ-MIXシリーズ『VERSUS(ヴァーサス)』をスタート。
その第1弾となる「VERSUS “Japanese Rock VS FPM”」の収録アーティストでもあるACIDMAN・オオキノブオとの初対談が実現。
     
インタビュアー:本日はよろしくお願いします。
(元)HMV渋谷の窪田と申します。閉店まで大変お世話になりました。
田中さんには、最終日に店でのDJで盛り上げて頂きまして本当にありがとうございます。
田中知之(FPM以下田中)
お疲れ様でした!

オオキノブオ(ACIDMAN以下オオキ):
明るい終わり方でしたよね。
     
インタビュアー:本当に皆さんのおかげで賑やかなまま閉店することが出来ました。今回は、初対面ということで、早速ですが、FPMさんのミックスCD『VERSUS. JAPANESE ROCK VS FPM』にACIDMANさんの楽曲「赤橙」が収録された、ということで対談が実現したわけですが・・・。
     
田中:
今回は収録をOKして頂きましてありがとうございます。

オオキ:
こちらこそありがとうございます。
田中
実は、対談の前に調べてみたら、オオキくんの周辺で出てくる名前に僕の友達がとても多くて、まず東京スカパラダイスオーケストラの谷中敦くん、加藤隆志くんの名前があって、谷中くんが「バンドの危機を救った」みたいに書いてあって、あの人酔っ払って与太話ばかりしてるのに役に立つこともあるんだ、って思ったり、須藤元気くんは、昔合コン一緒に行ったことがあって(笑)。

オオキ:
エェーっ!
田中
ageHaで、彼の新しいパフォーマンス集団「WORLD ORDER」のライブのときに僕がDJで、久しぶりに会ったし、(DRAGON ASHの)ATSUSHIくんのチャリティー・プロジェクト「POWER of LIFE」には僕も参加してるし、小島淳二くんは、NAMIKIBASHIのもう一人、(ラーメンズの)小林賢太郎くんと2人でSymmetrySってグループやってて、小島淳二くんは自分のPVやってもらったこともあるし、あと日下貴世志くん。

オオキ:
えっ日下さんも?
田中
ずっと知ってて、だから今回の新作(2010年9月22日発売『ALMA』)聴いて、2曲目誰のリミックス?と思ったら日下くんで、エーっと思ってビックリして・・・
だから周りで出てくる名前がほとんど知っている人で、これまでに会っていないのが不思議なぐらいで、これはオオキくんとは是非話さなければ、と思い、今日は「また飲みましょう」という話をしに来ました(笑)。

オオキ:
実は2、3度クラブでお見かけしたことがあります。
田中
え、ほんとに?!この前のROCK IN JAPANフェスでも丁度同じ日(8/7)の出演で、僕がDJ終わってドロドロになって楽屋に戻って、とりあえずビールをプシュっとやった瞬間に「赤橙」が流れてきたんですよ。で、「わっ凄ぇ」、と思って。
     
一同:へぇー!
     
インタビュアー:奇跡的な瞬間ですね。
     
田中
そう、まさにね。
     
インタビュアー:今回の『VERSUS.〜』は田中さんにとって2作目の日本語曲のミックスCDではありますが、とても新しい試みが詰まった作品だと思います。何か製作意図などについてお伺いしたいのですが?
     
田中
一回僕、2年前に日本語ばかり集めたミックスCD(『Sound Concierge JAPAN』)は出しているんですけど、今回、レコード会社から第二弾をやりませんか?という提案を受けて、前回と同じことをもう一回というのは嫌だな、と思ったことと、自分がこれまで日本語というものにちゃんと向かい合って来なかった、という反省もあります。
自分は前に文章を書く仕事をしていたのに、こと音楽となると日本語で音楽を作ることに照れのようなものもあって・・・。

オオキ:
ハイ、ありましたね。
田中
それを乗り越えて作っている作品にとても感銘を受けまして・・・もう今年44歳で「遅いわっ!」って感じなんですけど・・・、今回そういった作品をいっぱい聴いてどんどん打ちひしがれたんですよ、「凄ぇ」と思って。そういう後悔と反省みたいなものを、ポジティブな形で表現出来ないか?と思って作ったのがこのミックスCDです。
ただ、方法論としては、自分の得意としている形でハウスの手法に乗っ取ってミックスをしまして、「ミックスやって何が起こるねん?」って話なんですけど、自分が出来ることを加えることによって(BPM120〜130に合わせて曲を繋ぐ)、自分なりに真摯に向き合うというか・・・。ACIDMANなんて10年前の初期の作品なのに、15年やってる自分が今更気付いたなんて・・・と本当に反省しています。

     
インタビュアー:「言葉」が凄く大事な要素だったんですかね?
     
田中
「言葉が大事」と言っちゃうと薄っぺらいんですが、そういう言葉で表せないような(日本語詞を通しての)「アーティストの業」みたいなものに、今更気付いた、というか気付かないフリをしていたことに気付いたのかな?

     
インタビュアー:今回収録された「赤橙」はインディーズでリリースしてメジャーからももう一度出した思い出深い曲だとは思いますが、今回、収録されるにあたって率直にどんな風に感じましたか?
     

オオキ:
そりゃ凄く嬉しかったですよ(笑)。
田中
ありがとうございます(笑)。

オオキ:
俺、実はロックしか聴いてなかったわけじゃ全然なくて、むしろ「歌モノ」を全然聴いてこなかったですね。昔はヘヴィ・メタルずっと聴いてたんですけど、クラブミュージックはずっと聴いてて、メンバーも好きで・・・。
田中
それは聴いたらわかりましたね。音楽的背景は、なんか凄く黒い部分もあるし、ボサノヴァのような曲もあるし、新しいシングル(2010年9月22日発売『ALMA』)に入っている次のアルバム(2010年12月1日発売予定8thAlbum『ALMA』)のダイジェストを聴いたんですけど、ここにカリビアンみたいな曲もあるし・・・、そういうのはわかるんですよ、僕もヘヴィ・メタル聴いてたし、高校生のときベーシストでヘヴィ・メタル演ってたんですけど、太ってたんでそれっぽくなかったですけど・・・(笑)

オオキ:
一瞬笑っていいのかどうか分からなかった(笑)
田中
笑うとこ!(笑)

     
インタビュアー:ヘヴィ・メタル格好いいですからね。メタリカとか凄いですよね。
     

オオキ:
で、最近は音楽をほとんど聴かなくなってしまいまして。なるべく作品を感覚的なものに近づけたいから、聴くと影響されちゃうので・・・
田中
純粋培養するんですね。僕もレコード制作時期にはレコード屋にはいかないようにしていたことがあって。なのでそういうときは渋谷には近づかない!

     
インタビュアー:自分はCDショップ社員だったので、すぐにアーティストのバックボーンやら影響されたものを探って売り方を考えるクセがあるんですが、最近のACIDMANからはそいういった影響が全然わからなくなって、グループ分け、みたいなことが出来なくなっている「孤高の存在」だったのはそういう部分から来ていたんですね。
     

オオキ:
グループ分けみたいなものは、意識して、というよりは「何かっぽい」と言われるのはまず嫌だし、いろいろなジャンルを好きで聴いてきたけど、聴いてきたものは聴いてきたもので出るのは当然として、「音」っていうのをゼロから、というか、人間の感情の移り変わり、悲しみや怒りをそのまま表現したいと思っていて。
また、さっき田中さんが言っていたように、そこに日本語詞をのせるのは、逆に言葉が音像を邪魔したりしてしまうこともあり、いまだに高い壁として難しい反面、面白いと思っていますね。
田中
日本語で歌われていて楽曲的に格好イイものを作るってことはモノ凄くエネルギーのいることだと思います。俺は洋楽のパロディーみたいな人間だから・・・。

     
インタビュアー:でも田中さんも英語だとしても言葉を大事にしているところは感じます。例えば「Reaching for the stars」って言葉は、メロディーと一緒になって曲を高めるのに重要な役割を果たしていると思います。
     
田中
「日本人が聞くことができる英語」ということは考えてたりしますね。自分は幸か不幸か日本でのデビュー前に海外のレコード会社が決まり、「英語でやる」ということが最初の前提だったから、最初のスタート時点が違うといえば違うのは仕方のないことかもしれないんだけど、今回このミックスCDを作ることによって日本語へ取り組んでこなかったことを払拭したかったというか・・・。DJっていうのはちゃっかりしてて、自分がプレイしたりミックスしたりすると、自分の曲みたいな気持ちになったりするんで、俺、「赤橙」はもう自分の曲になってます(笑)。だから、「赤橙」だけでなく、自分の持ち曲に日本語詞の楽曲が増えた、ってことはDJとしてもとても喜ばしいことだと思うし。僕らもクラブでプレイすることに責任を持っていないといけないかな、と。ロックとか日本語詞を先入観で聴かず嫌いな人もいるかもしれないんで。

     
インタビュアー:今の話を聞くと、田中さんの「世界に通用するクラブDJ」というイメージからは意外な言葉に思えるかもしれませんね。
     
田中
いや、そんなことはどーでもイイんですけど。本当にどーでもイイんですよ。(笑)
僕がいつも思っていることは、クラブやらロックやらいろいろなことがジャンルでパックリ分かれていてお客さんも分かれていることは凄く寂しいことだな、と。僕は、「ACIDMANは、洋楽にもクラブミュージックにも負けない格好イイ音楽だぜ」ってことを皆に言いたかったと・・・。もちろん他の楽曲も同様にですが。なんか、いろいろフェスとかでも混ぜようとしてるんですけど、なかなか実現しないんだよね。
自分は、前だったら例えばACIDMANの曲をリミックスして・・・という方法論だったと思うんですけど、そうじゃないということに気付いて、オリジナル曲のままどれだけDJプレイで機能するか、ということを証明しようと思ったんですよ。それぞれの音楽的な意識や前後のアーティストが好きか嫌いかも一切無視して一曲の組曲を作っちゃえるのはDJの特権かなと・・・俺なんか「赤橙」の後に「シャングリラ」繋いでますからね!

     
インタビュアー:ここが一番気持ちイイですよ!一番グっと来ます。
     
田中
これオオキくんはどう思うんだろう、って・・・。

オオキ:
俺「シャングリラ」好きですよ。それよりもZAZENの後の鈴木亜美ちゃんは凄い!
田中
亜美ちゃんというかバッファロー・ドーターですね(笑)。なんかそういう有り得ないことを出来るのがDJの特権というか、そういうことがお客さんに伝わるかどうかわからないけど、それを恐れていてはいけないかな、と。

     
インタビュアー:でもクラブミュージック聴いている人で元バンドマンだったりロック好きだったりという人は多いと思います。若い頃はやっぱり日本語が聞こえてくるほうが入り口として入りやすいかと思いますが。
     
田中
多い多い。どう考えても日本人でいきなり洋楽聴ける人ってのはなかなかいないと思う。それどころか歌謡曲だと思うんで。俺も中学校のときに大瀧詠一の「A LONG VACATION」が出て、凄く流行っててアルバムの全曲の歌詞を覚えてたんですよ。いつからか洋楽にかぶれ、日本語を意味もなくスポイルしてきた気がするのね。松本隆さんが凄いのは当たり前として、それ以降の人がどれだけ日本語に対して真剣に取り組んできたかを。職業作家が今いなくなったと言われるのは、アーティスト自身で日本語で表現できる人が増えたんだな、と思います。こんな当たり前のことに今更気付いたことが恥ずかしいと思って。

     
インタビュアー:ACIDMANさんは「圧倒的にロック・バンド」ではありながら、デビュー時からシーンとかジャンルに関係のない孤高の存在というイメージがあります。
     

オオキ:
そうですね、俺らいつもアルバムにインストの曲を2曲は入れてるんですけど、それも、ロックだけじゃないものを表現する、という意味もあります。
俺が前にずっとヘヴィ・メタルばっかり聴いていて、「早弾きがなけりゃ音楽じゃない」みたいな形式にハマって音楽を聴いていたことをリセットしているので、ポップな楽曲も超ディープ曲なインストもどれだけ長い曲でも、なんでもやっちゃおうというのが自分たちのスタンスなんですけど。
     
インタビュアー:その結果、他に類を見ない「孤高のロック・バンド」であり続けることは凄いことだと思います。
     

オオキ:
どっかに入れられたりなんとかシーンって言われるのは嫌なんですよね。
     
インタビュアー:確かにシーンで区分けしづらいCDショップ泣かせのバンドでした(笑)。今回のミックスCDで田中さんが危惧していたような違和感のようなものは感じましたか?
     

オオキ:
いや、それ以前にあまりに古い曲だったので、俺らの演奏とか歌が下手すぎて恥ずかしい、掘り出さないでくれ、ってのが・・・(笑)。
田中
本当申し訳ない(笑)。俺も10年前に作った曲、ミックスCDに入れられたら断るかも。でも、俺がACIDMANの曲聴いた中でその初期衝動のような感覚が引っ掛かったのも事実です。なんかこう、1st.の凄さってあるじゃないですか。

     
インタビュアー:確かにCDショップとして、FPMさんが『LUXUARY』をリリースしたときとACIDMANさんがメジャーデビュー時にシングル3枚をそれぞれ¥300でリリースしたときの「これはとんでもないもんが出てきたぞ」っていう初期衝動のような感覚は今でも印象深いです。
     
田中
全然売れませんでしたけどね、僕(笑)。いや、でも本当に掘り起こして申し訳わけないけど、本当に自分で気に入ってるんですよ。今までの自分のミックスCDで一番聴いてるかも。あと、やっぱり皆に言われるのは「赤橙」から「シャングリラ」の流れがクライマックスだと。(映画的な)ストーリーとしては「赤橙」が主人公が死ぬところでしょ(笑)、で、「シャングリラ」が回想シーンだと。そこから先はエンディングに向かってきますんで。因みに1曲目のアジカンは朝起きて歯磨いているシーンでタイトルバック、3曲目、鈴木亜美ちゃん、ここで「彼女登場」ですよ(笑)。
映画『BECK』サントラって全部英語の曲じゃないですか。だからあれを日本語曲でやったような気持ちですね。

     
インタビュアー:自分はCDショップでJapanese Pops担当の経験が長かったですが、やっている中で、洋楽好きな人から「あー邦楽でしょ」みたいな、感覚を受けることがあり、「いや、全然負けてないぞ、この良さを伝えてやる」という気持ちでやっていた部分もありました。
     

オオキ:
俺らがデビューするときも、何故ロックなんだ?何故日本語のロックなんて古いことやってるんだ?みたいなことを言われたんですが、そんなことは関係なく自分たちが信じる表現を続けてきて、今やその現象は逆転してきている気がします。フェスでも日本のロック・フェスの勢いが凄いという話しも聞くし・・・。それはとてもイイことだと思っていて、なんとなく「外国が格好イイ」「英語が格好イイ」という感覚は大間違いで、もちろん格好イイものもあるし、格好悪いものもある、ということは日本の中でも同じようなことが言える、要は自分で選べばイイのであって・・・・今の若い子はしっかりと自分で選ぶことが出来てるなぁ、と思ってワクワクしています。
     
インタビュアー:ACIDMANがデビューしたての頃、EMIのショーケース的なライブで、MANDO DIAOとACIDMANを同時に観ましたが、ACIDMANの方が圧倒的に凄い、と感じたことを覚えています。
     

オオキ:
嬉しいですね。
田中
いや、本当、今日をきっかけに一緒に酒を飲みたいな。

オオキ:
是非、俺酒好きなんで。
田中
僕、実は今、加藤くん(東京スカパラダイスオーケストラ)たちとバンド演ってるんですよ。NoNoNoっていう。
ドラムがTHE MAD CAPSULE MARKETSのモトカツくんで、ベースがTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのウエノくんなんですよ。僕はDJとプロデュースなんですけど。

オオキ:
エー!
田中
「メタル」って曲もありまして、もうほんと、ヘヴィ・メタルでもなんでもアリで。1年半ぐらい前にFATBOY SLIMが別名義(BPA)でIGGY POPをボーカルに立てて作った曲(HE’S FRANK)のリミックスを頼まれたときに、その3人のメンバーに集まってもらって、スタジオ一発録りで演った音を「リミックス」としてやったのがきっかけで、その3人の演奏と自分を合わせて、ロック好きにもクラブ好きにもどちらにも届くダイナミズムや快楽性みたいなものを表現したいと思ってます。まだまだ未熟なんですけど、レコード売ることはまず考えずにとにかくライブが出来ればいいや、と。エンジニアとキーボード入れて6人編成でバンドをやるのを超楽しみにしています。

オオキ:
観に行きますよ!
田中
是非是非。絶対観てください。本当にある程度バンドが固まってきたら、オオキくん含め、いろんな知り合いの人をゲストボーカルに迎えたいな、と思ってるんですよ。発売するとなると面倒くさいんですけど。

     
インタビュアー:それは絶対音源として欲しいですけどね。
     
田中
でも本当、音源出すとなると越えなきゃいけないハードルが多いんでね。もうちょっと高校のときの4組の田中のバンドがボーカル募集してます、みたいな・・・俺的にはそんなノリでいいんですよ。

     
インタビュアー:オオキさんの参加もあるかもしれませんか?
     

オオキ:
ハイトーンで行きますよ(笑)
田中
もちろんもちろん。是非お願いしたいですね。

     
インタビュアー:如何せん、全員とんでもない爆音出しますからね。
     
田中
この前凄くおかしかったのが、初めてのスタジオ練習で皆で音出してたら、スタジオの人に「音下げてくれ」って言われて、マッドカプセルもミッシェルもそれは言われたことないって言ってたので、ビッグになったときに、いや、ならないですけど(笑)、エピソードとしてはいい話がゲットできたと思って。今、最高に「バンドは楽しいな」と思ってます。

     
インタビュアー:今、音源についての話が田中さんから出ましたが、象徴的な例として、先日自分が勤めていたHMV渋谷店が閉店しました。その理由としていろいろなことは言われていますが、CDから配信へ、ということも含め、音楽の聴かれ方がこれまでと変わってきているのは事実だと思います。もちろんお二方とも活動を見ていると現場(ライブ)をとても大事にしているとは思いますが、こういった音源の聴かれ方の変化について何か思うことがあれば是非、お聴きしたいんですが。
     
田中
確かにパーセンテージでは変わってきていると思いますね。

     
インタビュアー:田中さんのtwitterで見ましたが、「VERSUS.収録の楽曲をダウンロードして買うよりも安い」、というアイデアには感心するばかりでした。
     
田中
配信がダメって気持ちはまるでないんですけど、音楽がデジタル配信になった時点で「フリー」なんですよ。そこは割り切って行くしかないのかな、と思ってます。僕はパッケージが好きだし、いまだに買いますし。まだCDがスタンダードなうちは、我々はそこで出していくしかない、と。もちろん今回の『VERSUS.〜』のアイデアのようにCDを売っていく方法も考えていきますが、もちろん今回は結果として、そうなったのであって、ベースは「売れるように良いものを作る」という考えが基本です。

オオキ:
俺らはアルバム単位で聴いてもらうために作っているのが基本で、たまたま出来た曲を早めに聴いてもらうのがシングルってだけだから。もちろん時代が時代なんで、田中さんの言った「フリー」ってのはその通りだと思います。ただ人間って「手に触れる」っていう行為は、本と一緒でなくすことは出来ないと思っています。いくらiPadが流行っても、本をめくる、という行為はなくせない気がするので。ただ、これからは淘汰されていく時代だと思っていて、CDというものを使って「商売」をしようと思っていた人のものが売れなくなるのは、むしろ俺らにとっては万々歳で、今までお金のことを考えて音楽を利用していた人たちが淘汰されて、本気で「音楽」を届けたいと思っている人たちが生き残る時代だと。
田中
モノを所有する喜びって皆が忘れているのかもしれないね。だから、そういうことを啓蒙していったらイイんじゃないかな、と思う。僕もダウンロードはするけど、その曲はぞんざいに扱っちゃう。やっぱり本当に好きな音源はサンプルもらっても自分で買うし、そうしないと大切に扱わなくなるから。凄くイイ洋服を自分で買って着たら背筋が伸びる感じ、みたいなことを忘れてて、だから人気モデルとかに、「CDは買って持ったほうがイイよー」なんてメディア言ってもらうこともいいかもしれない(笑)。

オオキ:
それ、やってもらうべきですね(笑)。
     
インタビュアー:今回HMV渋谷閉店の際に、沖野修也さん須永辰緒さんやJOJO広重さん、曽我部恵一さん等いろいろな人からも勇気づけられる発言や活動を頂いたので、今のお二人の言葉も大切に考えたいと思います。本気で届けようとしている人たちが残る、というのは力強く頼もしい言葉でした。ありがとうございます。残念ながらここで時間が、、、じゃあ今度は酒の席ですね(笑)。今日は本当にありがとうございました!
     
Photo by Nobuyuki Suzuki